「ここに居たのか。おかしな服を着ているし、空から降ってくるし、突然走り出すし……全く、変な女だ」



しゃがみこんでいる私の背後からそんな声が聞こえてきた。

振り向くと、つい先ほどまで私をお姫様だっこしていたあの男がいた。

刀を持っているから、きっと侍だ。



彼の言うおかしな服、というのはこの制服のことだろう。

そりゃ、和服を着てる人ばかりの中にいるんだから、端から見ればかなり妙な格好をしているように感じる違いない。

突然走り出したのは自覚もある。



でも、もう一つの言葉は引っ掛かった。



「…空から降ってきた?」



私の呟きに、侍は「ああ」とうなずく。



「いや、『空から』と言うと語弊があるかもしれない。
俺の見間違いでなければ、空中にいきなり現れた。それでつい受け止めてしまった」


「あー…なるほど」



…いやいや、何一つ「なるほど」じゃないけどさ!



一応お姫様だっこの謎は解けたけど、また新たな謎が出てきてしまった。


…空中に現れたっていったい