普段どおりに振る舞って、ケガしたこと気付かれないようにしようと思ってたんだけど…


呆気なくバレちゃったな…。


壱夜くんに左手を隠していたことを指摘されて、思わず動揺しちゃったから仕方ないけど。


それにしても、桃舞くんたちへの連絡よりもケガの手当てを優先してくれるなんて、優しいな…本当に。


心配してくれたの、嬉しかった…。


頬を緩ませていると、医務室のドアが開く。


入って来た壱夜くんは、怪しげな顔で私を見つめた。


「お前、なんでそんなにニヤけてんの?」


「えっ!?あ、いや……これは、その……無事に手当てが終わったことへの安堵感というか……」


なんて無理のある状況説明なんだろう…。


取り繕うの下手くそだな、私。


「ふーん。変なヤツ」


あ、あれ…?


意外にも、ちょっと笑ってる…。


確実にドン引きされると思ってたから、予想外かも…。