昨日のことがあって気まずい。


なんで今日に限って早いの……?

朝練が早く終わっちゃたのかな。


いつものように、掛けられる声に軽く応えながら教室端のこの席についた久我くん。



「おはよ」


「……っ」



恐る恐る見上げると、その挨拶は紛れもなくあたしに向けられていて。



「お、おはよ……」



消え入りそうな声で返したのは、恥ずかしいから。


好きな人がバレた相手に、余裕で会話できるほどあたしの心臓は図太くない。



「あのさ、これ」



これ以上、今は話しかけないで……そう思っていたのに。


久我くんが、今置いたカバンの中から何かを取り出し、あたしに手渡した。



「あっ……」



昨日蒼くんからもらったグミだった。