ケータイ小説 野いちご

暗黒王子と危ない夜



生徒指導に引っかからない程度に染めたダークブラウンの髪を左手でくるくるといじりながら、
桃香(ももか)が右手であたしの前髪の寝癖をちょんちょんとつついてくる。




「学校でガチ寝しないのー。前髪せっかく巻いてきたんでしょ?」




そう言う桃香の前髪は、正午を過ぎた今でもバッチリ崩れずにきまっていて、
薄くほどこされたメイクが素の可愛さをいっそう引き立てている。




「昨日寝れなくて……」


目をこすりながら、自分の手で乱れた前髪を直す。



「なんで寝れなかったの? 恋??」



桃香の隣に座っている伊代(いよ)が興奮したように机を叩きながらそう聞いてくるので呆れてしまう。




「なんで二人ともすぐ恋に結びつけたがるの……」


ぼそりと呟くと、



「萌葉だけ彼氏いないからじゃん」


とふたり声を揃えて言うので
がっくりきた。


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