俺はしなくてもいいはずのバイトをしている。

親父がしたらいいことがあると言ったから、高校入学と同時にコンビニのバイトを始めた。

そして、俺はいつも通り従業員スペースに入った瞬間…………………………………フリーズした。

「あ」

あいつも俺に気づいて声をあげた。

「あなたたち知り合いだったの?」

「助けてくれた人」

「そうなの。うちの子を助けてくれてありがとうね、和海君」

うちの子…?
まさか……

「店長の娘さんですか」

「そうよ。これから和海君と一緒に働いてもらうからよろしくね」

店長はレジの方に行った。

「水沢有紀です。よろしくお願いします」

「ああ」

俺は頭がパンクしそうになって顔を背けるようにロッカーの方に向かった。

「あの、名前教えてもらってもいいですか?」

今日の入学式で分かるだろう。普通。
俺の話の時は黄色悲鳴があがってたはずだ。

「生徒会長だ」

これで分からなかったら重傷だぞ?

「名前を教えて下さい」

……重傷患者か。

「入学式のとき聞いてなかったか?」

「すいません」

マジか。

「俺のこと知らない奴がこの学校にいたんだ。俺は中島和海」

「はい」

「それなら、中島先輩ですね」

あいつは少しほほえんで言った。