なんとなく…彼の瞳が怖かった。


スゥと引き込まれそうで、すべてを見透かされてそうで。


そして、どこか冷たそうで。


心がない人なんじゃないかって直感的に思わされる瞳。


「虐待とかDVって、逃げたあと見つかったら酷い目に遇わされるから。それぐらいあんたも分かってんだろ?」


彼は、玄関のドアを開けっ放しにしたまま家の中に入ってしまった。


中に入るも引き返すも、私の勝手。


一歩踏み出す勇気を出すも出さぬも、私の勝手。


生きるか死ぬかも…私の勝手……。


……もう痛くて怖くて苦しいのは嫌だ…。


でも…ここでもまた同じことになるかもしれない…。


それに……男の家に居候するなんて…絶対嫌だ…。


怖い…。