「触られただけ、じゃないでしょ。体、痛いところない?」


……あまりにも違う。

さっき男を見下ろしていたときの、氷のように冷たい瞳をした本多くんと、今あたしが見てる本多くんが。


男に襲われそうになったあたしよりも、ずっと傷ついた表情をしている。


たしかに怖かった。

今もかすかな震えが止まらないくらい怖かったし、簡単に忘れられそうにもないけど……。

悪いのは本多くんじゃない。


「あの、そんな顔しないで……っ。本多くんは助けてくれたんだよ。むしろ、何回お礼を言っても足りないくらい……」

「相沢さんは優しいよね。今日のことは全部おれの読みが甘かったせいなのに」