「椎葉と中島、どっちがいい?」


正門を抜けたところで、手を放した本多くんがそんなことを尋ねてきた。


頭はどこかぼんやりとしていて、さっき自分の身に起こったことに対して、あまり実感が持てずにいる。


今こうして本多くんと話していることすら不思議な感覚で、なんだか夢を見ているよう。



「シイバと、ナカシマ……?」

「相沢さんを家まで送らせるから」

「え? えっと……」


“ シイバ ” というのはたぶん、本多くんとよく一緒に行動している、

同じクラスの椎葉 三成(しいば みつなり)くんのこと。