慌てて立ち上がったのもあって、バサバサっと本が床に落ちた。



急いでかき集めていると。



「あーあ…」



残念そうな声が頭上から聞こえる。



気づけば、陽向くんが一緒にしゃがんで本を拾ってくれた。



「俺らが行くから、千衣はまだここにいれば?」



「あ…うん。そうだね」



なんとなく、この場から逃げ出したかった。



けど陽向くんが行くなら、あたしはここにいていいのか。



「ちょ…なんだよその距離感。まさかもう…」



「はぁ?」



「仲良すぎねー!?名前だって呼び捨てかよっ」



「あー…。千衣は、俺の…」



そこまで言って、陽向くんは黙ってしまった。