なるべく組から離れないようにしながら、辺りを捜索する。


だけど、それらしい影は見えない。


建物の隙間に隠れられていると面倒だなぁ。


この時代、建物の高さが統一されてるから見下ろせないんだよね。


まぁ地面歩いてるよりは見渡せるけど‥‥‥


噂にあった『姿を見た者は全員殺される』が本当なら楽なんだけど。


もし、僕が人斬りの立場だったらどうする?


姿を見た沖田さんたちを殺すだろう。


どうやって‥‥‥?


「‥‥‥‥!‥‥‥」


僕は早足で組のところに戻る。


組の回り、詳しくは沖田さんを中心にして辺りを重点的に調べる。


調べにくそうな、でも、ありきたりな物陰。


狙うなら建物の隙間か‥‥‥?


いや、僕なら‥‥‥


「おいあんた、大丈夫か?」


新八さんの声の方を見ると、建物の隙間から足が出ている。


倒れてる‥‥‥?


新八さんの声に、その足は動くことはない。


新八さんたちにバレないようにしながら、倒れてる人がいる屋根の上に行く。


覗きこむようにして見ると、笠を被った男が路地裏で倒れていた。


旅商人のような格好に、薬箱のようなものを背負っている。


腰には1本、刀が差してあった。


「おい、大丈夫か!?」


新八さんが男に触れようとした時。


「下がれ!!!」


僕は思わず叫んで、その場から退いた。


刹那的。


月明かりだけが輝く夜に、目に耐え難い光が放たれた。