そうだったんだ。


もともと繁盛してる店だからよく分かんないけど。


「野口さんじゃあ俺も正社員に─」


「断 固 拒 否」


野口さんと海さんは仲が良い。


というか、この職場は皆仲が良い。


最初は男性には近づかないようにしてたんだけど、酔っ払ったオッサンに絡まれてるところを助けてくれた海さんと仲良くなれた。


海さんのおかげで他の人とも距離が縮まって、職場を快適に過ごせてる。


「ケチやなぁ。俺も一生懸命働いてんのに」


「海が正社員の話断ったんやろ?」


「あんときはまだ一流企業に就職する夢があったから」


「ここも一流企業やって思っとけ。ほんならお疲れさん」