〝好きな女がいる〟


渚さんはそう答えた。


夏休みが始まってすぐの頃にそう言われた。


渚さんの気持ちはもうお姉ちゃんに向いてない。


ショックだった。


裏切られた気分的だった。


でも、それでも良いと思った。


だって、私だって渚さんが好きだから。


お姉ちゃんが生きてた頃から、大人っぽい渚さんに惹かれてた。


けど、お姉ちゃんが死んでも私に気持ちが向くことはなかった。


〝名前何て言うの?その人〟


ほんの少し期待してた。


〝琴羽〟という答えを。


だけど、そんなの妄想に過ぎない。