あたしは無事に、桜園高校に合格した。


でもまだお兄ちゃんを失った傷が癒えなくて、毎日電車に乗って高校へ通う……という、なんの変哲もない日常を繰り返すことでさえ精いっぱい。

高校生活を楽しむという気にはなれなくて、入学早々ぽつんとしていた。


そもそも、友達の作り方すら忘れちゃってたんだ。

中学時代、あたしには友達と呼べるような子はいなかったから。


入学当初はテニス部へ入って元気に活動していたけど、お兄ちゃんが入院してからは、お見舞いに行ったりと、部活にあまり顔を出せなくなってしまった。


すると、


『またサボってるよ』

『練習来ないのに大会だけ出るなんてズルいよね~』


なんて陰で言われるようになり、居づらくなって部活をやめた。