謝ろうと口を開きかけたところで、掠れた声が聞こえてきた。



「すっげー、好き」

頬に触れている森井くんの耳が熱い。

それとも私の頬が熱いのかな。




「あの、次がんばるね」

次こそは自分からできるようになりたいけれど、今日みたいにしてって言われると恥ずかしくなるから、私も不意打ちを狙ってみようかな。

上手くできるかな。



「……待って、俺の心臓がもたない」


顔を上げた森井くんの顔が赤い気がする。

まじまじと見つめていると、肩を掴まれて森井くんの胸へと引き寄せられた。



「見ないで。俺、絶対顔赤い」

「う、うん。赤かった」

「……じゃあ、離れんの禁止で」



森井くんの顔を見ないためとはいえ、抱きしめられている。


また今日も好きになっていく。


幸せをかみしめながら、私も森井くんの背中に腕を回した。







おしまい