<小宮さんと森井くん その2>





森井くんの彼女になって一ヶ月。

ふと気づくと森井くんが近くにいることが多い。



今日は放課後に森井くんの家にお邪魔していた。

家の人は仕事で夜遅くじゃないと帰ってこないらしく、ふたりきり。


けれど、気まずさとかは全くない。


森井くんと好きなアーティストの話をして会話が盛り上がることもあるし、会話が途切れても一緒にいる空気が好き。




森井くんといる時間はすごく落ち着く。

雑誌をパラパラと捲っていると、流していたCDが次の曲に切り替わる。

私が特に好きな曲だ。



「これ、好き」


振り返って椅子に座っていた森井くんの方を見ようとすると、いつの間にか傍にいた。

顔が触れてしまいそうで、どきりと心臓が跳ねる。



「この曲いいよな」

「う、うん」

森井くんの顔が近くにあって恥ずかしくなり、前を向いた。

後ろから抱きしめられるように腕を回されて、更に鼓動が加速していく。