「んじゃ、俺は…とりあえず総合案内センターに行って来るよ。黒河内のキーケースが忘れ物として届けられてる可能性もあるから」


「それじゃあ、俺は念のため昼メシを食べたフードコートに探しに行って来る。食べ終わって店を出る際に落ちたのかもしれねぇし」


「分かった。二人とも悪いな…。頼む。」


玲音くんと桃舞くんは“気にすんなよ”と言わんばかりに笑みを浮かべると、それぞれ駆け足で行ってしまった。


「私たちは、どうする?」


「さっきのパレード会場から探そうかと思う」


「了解!」


足早に歩く壱夜くんの後を追いかける。


以前だったら、こういうお節介は本気で鬱陶しそうにしていたのに…。


壱夜くんが頼ってくれるなんて、嬉しい…。


大きな背中を見つめながら、ジンワリと心が温かくなるのを感じた。


キーケース、無事に見つかるといいな。


頑張って、探そう…。