「じゃあ!俺の一押しスポットを教えてやるからついて来いよ!!」

「何…そのノリは……。」

「そんな顔するな!!お前が元気なさそうだっからちょっとテンション高めに言ったんだよ!!」

え……?

私のこと思って……?

私は、少し嬉しかった。

「あ…ありがとう。心配してくれて…!」

そう言い、仁人は少し嬉しそうに色々なことを教えてくれた。

夏に行くと良い心霊スポットのトンネルやら、この町で有名の猫のクロや、そして何より海が近くに

あることなど。

私は、思いっきり楽しんでしまった。

「あぁー!!なんか、楽しかったな!!」

そう言い、私たちは海の近くの砂浜を歩いていた。

「なぁ…。少し聞いていいか?」

「なぁに?仁人。」

「お前、朝食の時味が分かるって言ってたよな?いつもは、分かんないのか?」

私の動きは止まった。

「そうだね……。東京の時の事なんだけど、私ある時か

らお弁当の味とか料理の味もよく分かんなくなっちゃっ

てて。中学の頃も色々大変だったからかな?でも、ここ

に来たらなんか安心したのかな?今朝は凄く美味しいっ

て分かった。」

私は、そう言い少し強気に笑って見せた。

こんな事で、一々落ち込んでたらおかしいし何より今は楽しいからそれでいい。

「なぁ……。楽しいか?今。」

「うん!楽しいよ!」

そう言い、私は背を向けた。

「なんなら、なんでもっと俺を頼らねぇんだよ…!」

密かに呟く仁人の声は、私には聞こえず二人の気持ちが交差していた。