「美由紀、こんなとこで何してるの?体操服だし、それにラケットも持って……」


菜美は私の手元に目を落とす。

菜美はもちろんのこと、卓球部員の誰もが私が卓球部に転部してきたということは知らない。

私はこのことを、一番仲のいい友達にしか言ってなかったから。


「実は……私、転部して。今日から卓球部に入ることにしたんだ。いきなりでびっくりするかもしれないけど、よろしくね!」


ニコッと笑顔を浮かべると、菜美は驚いたように目を丸くした。


「え、え、まじ?全然知らんかった!美由紀が卓球部入るんだ〜びっくりした!」

「そりゃいきなりでびっくりだよねっ。それで私、卓球部のこと全然分からないから色々教えてくれると助かるんだけど……」


よし、きっと大丈夫。
この流れで菜美に色々教えてもらおう。
それで菜美に教えてもらいながら、他の人達とも上手く関わっていけば。


菜美は私に笑顔を向けた。


「もちろんいいよ!卓球部の練習とか仕組みとか色々分からんもんね!今、自分達は自主練してる途中だから、こっちおいで〜」


菜美は私に手招きをすると、1年生の女子部員が集まる輪に向かって歩いていく。

私はそんな菜美の後ろについて歩いた。