フェイス

そうだった。


あたしは昨日勇を誘って断られたんだった。


「あぁ、大丈夫だよ。１度断られたくらいで、そこまで落ち込まないよ」


あたしはそう言って笑って見せた。


だって、あれはフェイスを付けていない、偽物の自分に起こった出来事だもんね。


あたしには関係のないことだ。


「そっか……よかったぁ。あたしのせいで傷ついたと思ってた」


彩羽が大きくため息を吐き出してそう言った。


あたしは「ふふっ」と小さく笑った。


本物のあたしは彩羽や梓よりも、もっと可愛い。


だからこの子たちのことなんて気にする必要がない。