丁寧なような、乱暴なような。

どちらか分からない、キスの雨。


確かめるようにじっくりと、でもどこか強引で。


瑞季くんが酸素を奪っていく。



離れたと思ったらまたくっついて、そこから熱が伝わる。頭がクラクラした。


苦しいのに、どこか心地良い……。



「……み、ずきく……っ」



息を切らしながら、無意識に名前を読んでいた。
感情が溢れてきて止まらない。


言葉にならない変わりに瑞季くんの背中に腕を回して、ぎゅっと抱きしめ返した。



「あさひ」

「なに……?」

「他の男のこと、見るなよ」

「……瑞季くん以外の人なんて、見たことない」



近い距離で見つめ合って。

瑞季くんは笑っていた。

今までで、1番やさしい笑顔。

それなのに

細められた目が、なんかだか泣いているように見えた。



「俺の気持ちは、ずっと前から変わってないよ」


そう言って、最後にもう一度

触れるだけのやさしいキスをした。