森に住む動物のものなのかーー。
私の隠れているすぐ側で、少し呼吸の荒い音が聞こえる。
『見つかったらダメだよ』
そう言われた私は、それでもただ黙って隠れるの。
ただジッとーー見つかるまで黙って隠れる。
いつの間にか集まった数人の人達が、私のすぐ近くでザクザクと音を立て始める。
何やら、土を掘っているようだ。
暫くしてその音がピタリと鳴り止むと、私の視界は急に明るくなった。
目の前に見えるのは、沢山の大人達の顔。
その近くには、犬もいる。
あぁーー
やっと、見つけてもらえたんだーー。
もう、隠れなくていいんだ。
ーーこれでやっと、お家に帰れる。
「ーーっ見つけたぞ!!!」
そんな大きな声をキッカケに、更に集まりだした人々。
無線のスイッチを入れた男が、神妙な面持ちでその重い口を開いた。
「ーーこちらA班。大腿部発見場所より、南西1キロ地点で少女の頭部発見。……南西1キロ地点で、少女の頭部発見」
ー完ー