「おはよー、芝田。昨日は流石に寝ただろ」

「俺をみくびるなよ相棒……?」

「まさかお前……っ、」

「ランク44」

「ウソだろぉッ……!? チートかよ」

「実力だ」


またやってるよ、芝田のやつ。


【俺は薙乃ちゃんに恋してます】


あのときの芝田は別人に見えた。


……『オトコ』だった。


だからわたしは


思わずその場から逃げ出してしまったんだ――。


「おはよ、市川」


芝田が隣にやってきた。


「……おはよう」


挨拶は、普通だ。

下の名前でなんて呼ばないし。


身構えたわたしがバカみたい。


昨日のアレはなんだったの?


「ずっと思ってたんだけどさ」

「な、なにを?」

「かわいい名前だよな。薙乃って」


ハァアア!?


「由来なんなの?」

「……なんでアンタに教えなきゃならないの」

「知りたいんだ。薙乃ちゃんのことは、なんでも」