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それから何が起こったのか、よく覚えていない。


気が付けば俺と城は警察署にいて、丘の上で見たことを説明させられていた。


しかし、あの丘にも監視カメラが設置されていたらしく、それを確認してみた所女の子の姿はどこにもなかった。


移っていたのは自分で自分の首を切る冨部先輩と、唖然としてそれを見る俺たちの姿だけだった。


「こんなの嘘だ! 冨部先輩は女の子に首を切られたんだ!」


声を荒げてそう説明しても、信じてくれる人は誰もいなかった。


監視カメラに映っていないのだから、信じてもらえなくても当然だ。


でも、見た。


俺はたしかにこの目で見た。


それだけは事実だった。


警察署まで両親が迎えに来た時、俺は城に聞いた。


「あの言葉、聞いたか?」


「あぁ。『椿のように』ってやつだろ? なんなんだよ、あれ!」


「俺はあれを聞いたのは2度目だ」


1度目は三宅先輩が死んだとき。


そして今回も。


そして2人ともチェンソーで首を切られて死んだ。


隣町のあの子のように……。