別に悪い事なんてしていないんだけれど、警察官2人が玄関に立っているという図に圧倒されたのだ。


「突然申し訳ありません。○○署の所田と言います」


丁寧な口調でそう言い、俺に警察手帳を見せる。


三宅先輩の事件に聞き込みだと言うことはすぐにわかった。


「昨夜の事件の事はご存知ですよね?」


「はい」


俺は素直に頷く。


「昨日の夜、何か気になった事はなかったですか? なんでもいいです。普段と少し違うなと思った事がありますか?」


そう聞かれ、俺はすぐに女の子の言葉を思い出していた。


「『椿のように散って死ね』」


「え?」


「昨日の夜……詳しい時間は忘れたんですが、『椿のように散って死ね』という言葉を聞いたんです」


俺の言葉に所田さんはキョトンとした顔になった。


一緒にいる警察官も、メモを取りながら首を傾げた。