それならもう帰らせてくれればいいのに。


そんな事を思ったけれど、事件があってすぐ生徒たちだけで帰宅させることができないのかもしれないと、思い直した。


今日は迎えや集団下校の可能性があるな。


そんなの小学校以来だけれど、殺人事件が起きたとなると話は別だ。


しかも事件現場は俺の家の目の前。


俺は教室から出て行った担任教師を見て、小さく息を吐き出した。


「ねぇ良磨、隣町の事件を知ってる?」


教師が出て行ってすぐ、隣の席の風花が話しかけて来た。


チェンソーによる首切り事件のことを言っているのだと、すぐにわかった。


「あぁ、知ってる」


「同じなのかな……犯人」


風花は眉を下げて不安そうな声でそう言った。


「そうかもしれない」


チェンソーで人の首を切って殺すなんて、普通じゃ考えられない。


あれだけ回転している刃物を首に押し当てたらどうなるのか、考えただけでも気分が悪くなる。


犯人はそれをやっているのだ。