逃げついた先は校舎1階にある自動販売機


そこで2人とも荒い息を整える



「ヒナ、風邪なのに走っちゃダメじゃん!大丈夫?」


「だい…じょー…ゴホッ。」


「大丈夫じゃないのね。」




なかなか呼吸が治らないヒナにカフェオレを買って渡す



「…え?いいの?」


「いいよ、ヒナが倒れたらやだし。」




渡した理由はそれだけではないけれど


とりあえず、ヒナの体調が第一



「レナは強いね」


そう言って可愛い可愛い笑顔で笑いかけるヒナにキュンとする


決して、そっちではないけれど。



「…ヒナ。これから部活行きにくくなったらごめんね」


カフェオレを渡した第二の理由


それはさっき私がやらかした事


言われた本人が言い返すならともかく


部員でもない私が声を荒げてどうする。

それのしっぺ返しがヒナに来ると思うと

自分のやった事を後悔したり。



「…何言ってるの?レナ。」



しんみりした空気を切ったのは


優しい心地のいいヒナの声



「謝るのはこっちだよ。レナ。

嫌な役回りさせてごめんね。

でも、実を言うとすっごいスッキリした!」




優しい声から楽しそうな声に変わった事に驚いて



「…え?」


言葉が出ない