「これは、スミってゆうの。本当に、何かの隅っこに咲くんだ」

「へぇ」

「初めて見たわ。スミ」

スミは、かなりの希少種って言われてる。なのに、それが何本も植えられていた。

「きれいな色してるね」

「でしょう。スミがきれいに見える人って、心が澄んでるって言われてるの。隅っこに咲く花だからってことだけじゃなくて、心が"澄み"きっているっていう由来もあるんだって」

よく知ってんな、友香。

「なんでそんなに知ってんの?」

思い切って、わたしは質問をしてみた。

「夏帆さんが教えてくれたの!」

とびきりの笑顔で答えてくれた。

「夏帆さんって、あの司会の?」

「うん。こーゆー大きなパーティには、しんらいの厚い人がするんだ」

つまり、夏帆さんはしんらいが厚いってことか。意外とすごい人?

「あら、お褒めに預かり光栄です。王女様」

「夏帆さん!」

不意に現れたのは、ステージに立っていたあの女性-夏帆さんだった。

「パーティへようこそ。ごゆっくりなさってくださいね」

にこっと笑いかけてくれる。ふうん、対応もさすが。