こんな至近距離で、校内であった美少女コンテストの1位を取った古家コハル先輩を見れるなんて、滅多にない事だ。


ギリギリの所まで身を乗り出してその姿を見る。


腰まである長い髪は太陽の光に照らされて輝いている。


パッチリとした二重の目に長いまつ毛。


スッと通った鼻筋。


ぷっくりと膨らんだ艶のある唇。


男なら誰でもその姿に様々な妄想を掻き立てられることだろう。


風花という好きな子がいるけれど、それとこれとはまた別なのだ。


現実世界と妄想世界の区別はちゃんとついているつもりだ。


古家コハル先輩に恋心を抱いたとしても、叶うわけがない。


学年のアイドルなのだから、誰かの物になると言う事も考えられない。


そんな事を思っていた時だった、「なんだ、タバコか」と、古家先輩が呟いたのだ。


そしてタバコを青鬼から一本受け取り、馴れた手つきで火をつけた。


学年のアイドル像をいとも簡単に壊されてた瞬間だった。