だけど、『好きです』なんて、許されるわけがない。
彼を好きな人はきっとたくさんいるんだから。この気持ちは、ちゃんとしまっとかなくちゃ。
─────ガチャ
「静音!静音いるか?!」
ん?
玄関から慌ただしい声が聞こえて、私はソファからムクッと起き上がる。
「あ、悠ちゃん。バイトおつかれ。早かったね」
ハァハァと息を上げながら帰ってきた悠ちゃんはなんだかすごく急いで帰ってきたようだ。
どうしたんだろう。
「どうしたの?悠ちゃん」
私は悠ちゃんに麦茶を入れるために冷蔵庫へと向かいながらそう聞く。
「柊 絢斗」
っ?!
なんで、今、悠ちゃんの口から彼の名前が出てくるの?