「ごめん。そうだよな」


優しすぎるというか、他人からどう思われているのか常に心配なんだ。


だから、相手の顔を伺って怒らせないようにとか、傷つけないようにとか。


昔からそうで、もう癖みたいなもので。


優しいと言われるけど、多分それは違くて、誰よりもずるいんだと思う。


「あ、…いや、俺こそごめん。なんかあせっちゃって」


「土田ー!柊ー!こっちこっちー!」


ボソッと土田が呟いた瞬間、先の方のガーデンデーブルに腰かけた女の子2人が、俺たちに手を振っていた。


「おうっ!」


高城に名前を呼ばれた土田の肩が、ビクッと動いたのを俺は見逃さなかった。


そっか…。
俺だけじゃない。

土田だって、焦ってるよな。


「土田、ごめん」


土田が走って言ってから、俺は小さく呟く。


胸の内にある、彼にどうしても言いたいことを、俺はグッと唇をしめて堪えて、彼女たちのいる席へと向かった。