「あら、あんたお母さんの事心配してくれてるの?」


「ま……まぁ」


正面切ってそう聞かれると照れてしまい、曖昧にうなづく俺。


頷くと同時に俺は母親に抱きしめられていた。


女にしてはガッシリとした体つきで、肝っ玉かぁちゃんという印象の俺の母親。


抱きしめられた瞬間首の骨を折られるんじゃないかと思って、咄嗟にその腕から逃げていた。


母親はそれを照れているのだと勘違いしたようで、「あんた本当にいい子に育ったわね!」と、感動してしまっている。


親を心配した事に変わりないが、こんなに感動される覚えはない。


これじゃまるで俺がいつも親の心配をしていないように思われてしまう。


むしろこの親なら心配する必要もなかったかもしれない。


そんな事を思っていると父親が帰ってきて、家族3人で早めの夕食を囲むことになったのだた。