とことん、わたしを虜にしてしまう。
どこまでも夢中にさせて

だけど手を伸ばせば届きそうで届かない。


「も、もういっぱい…だもん」

「……もっとだよ」


なんて艶っぽい、色っぽい表情。
尊くんはこんな顔もするんだ。


「僕のことだけ考えて、僕に夢中になってよ、千湖」

「っ……!」

もう、とっくになってる……。

気づいてるくせに。


「わたしって、尊くんにとって特別?」

「………」


「ねぇ、尊く……」


これ以上聞いちゃダメって言わんばかりに、尊くんが人差し指をわたしの唇に押し付ける。


「……さあ、どうだろう?」

「っ、」


ここまで期待させておいて
肝心なところを言ってくれない。

どこまでもズルイ人。

どうしたらわたしは尊くんの特別になれる?