…見つけた!



今年は入学初日からメイクしてくる生徒が結構いるから、探し出すのに何日かかるかと思ってたけど…。



新入生代表挨拶に選ばれる程、優秀だったとは思わなかった。



式典の後、教室に向かう生徒たちの中を駆け抜けて桐生を探す。



そんな僕を見かけた女子生徒たちの黄色い声が、耳についた。



モテることが自慢だった学生の頃は、そんな声も快感だった。



だけど、本当に大事なコを手に入れた今は鬱陶しいだけ…。



「桐生、話がある。」



僕に呼び止められた桐生は、周囲を窺うような様子だった。



入学早々、面倒なことには巻き込まれたくない…とでもいったところか。



「鬼マサ、クリーニング代ならアトで良い?」



僕のあだ名、鬼マサ決定かよ!



「ガキに、クリーニング代なんか請求するかよ…。

坂下先生のこと。」



僕がそう言った途端、桐生はイヤそうな顔をした。



そこまで嫌うか?



「坂下先生が持ってた写真は…。」



「あれ、私。」



写真の幼女が坂下先生の娘だと思っていた僕は、桐生の言葉を聞いて呆然と立ち尽くすだけだった。