しばらくして大きなため息を吐きながら戻ってきた北川は、機嫌が悪そうに椅子にドンと腰掛けた。

「どうだった? 北川」

「ダメだな。俺が行ったら答えてくれたけど、担当を別の人に変えてほしいって言われた」

大きなため息が事務室内に広がり、しんと静まり返った。

「明日の朝のミーティングで考えましょうか。
担当変えるしかないわよね」

「…課長、私明日もう一回行ってみます。
病棟担当を外れても、看護師さんたちと関わる機会はあるから、そのときに意思疎通がはかれないと仕事にならないです」

北川は椅子をクルクルさせながら、腕を組んで小さく頷いている。

「じゃあ、明日もう一日様子を見ましょうか」

心配そうに考え込んでいた課長もそう言ってくれた。

これを乗り越えなければ、私はここで働き続けることができない。

せっかくここに残れたんだ。ちゃんと自分の口で話して説得しないと。