顔を上げて、先生を見つめ返した。

何の迷いも躊躇も感じられない真っ直ぐな瞳が、私を映し出している。

私はこの目を信じてみたい。

「…先生、私でよければお願いします」

先生は表情を緩める。

「両手を出して」

突然何を言い出すんだろう…?

疑問に思いながら両手を差し出したら、先生の大きな手に包み込まれた。

心臓が跳ね上がり、握られた手から脈動が伝わりそうで恥ずかしくなる。

「結婚しよう、凛」

直球のプロポーズと突然の名前呼ばわりに、心臓に電流が走って見事にノックアウトされた私。

きっとこの人となら大丈夫。うまくやっていける。

どこから来るのかわからない自信を胸に、彼の手を握り返した。

「…はいっ」