「戻りましたー」

「相沢さん!!」

事務室に戻ったら、私の言葉に声をかぶせて課長が足早にやってきた。

「昨夜大変だったんですってね。さっき市川さんに聞いたわ」

市川さんと課長は、同世代ということもあって仲がいい。

「ええ、まあ…ちょっと」

言葉を濁して苦笑いしたけど、きっと事情は市川さんから全部筒抜けなんだろう。

「それでね…」

課長が言い淀んで唇を噛み、次に続く言葉はすぐにピンときた。

「NSTの管理栄養士を別の人に変えてほしいって、神田先生が言ってるの」

やっぱりそうくるのか…

最悪の場合そうなるかもしれないと予想はしていたけど…

「理不尽な話だから拒否しようと思えばできるけど…神田先生とやりづらいでしょう?
今までもセクハラっぽいことはされてたそうじゃない」

「はい…」