「見ろ…あれが100人を一人で倒したっていう赤羽だぞ。自分の仲間までぶっ倒したらしい。やべぇよな」



慶さんのことを指さして、ヒソヒソと話す男の人たちの会話が耳に届いた。


慶さんは二人の話なんてまるで聞こえないフリでそのまま歩みを進める。


彼らの話が本当かは分からないけど、少なくともあたしは慶さんはそこまでひどい人ではないと思う。


仲間とかあたしには全然大切さが分からないし、慶さんの仲間がどんな人かすら知らない。


そもそも、慶さんがどんな人物なのかあたしは何も知らない。


それでも、好きになったのはきっと運命だったと思うんだ。