去年は、わたしが本屋で眺めていた画集をプレゼントしてくれた。


わたしがいいなぁって思っていたことに気づいてくれていた。



ほんの少しもやもやした気持ちが戻ってきてしまう。



でもせっかく高校最後の誕生日。


お祝いしようと思ってくれるのは、嬉しい。



「じゃあプレゼントはいいから、なおくん休みの日に旅行したい!」


「いいよ。どこがいい?」


「千葉にある夢の国!」


「んー人多い。休みなのに疲れる」


「人いっぱいだから楽しいんじゃん。行きたい行きたいー」



たくさん写真撮って、グッズを買って、アトラクションで遊んで、美味しいディナーして、いいホテルに泊まって。


想像するだけでわくわくしてくる。



テンションが上がったわたしに対して、なおくんはうーんと何かを考え込んでいた。


やっぱり、だめかな……。


そう諦めながら口にした味噌汁は、昨日よりも酸味が強くなっていた。