それから数日後のことだった。


スーツ姿のなおくんが、わたしのお父さんとお母さんに頭を下げたのは。



『よねこさんと、結婚前提で同棲させてください』



さすがにびっくりしたけど、なおくんの手が少し震えていて。


緊張と覚悟が伝わってきて。


嬉しくて泣きそうになって。


わたしもなおくんのものになりたくて。



『わ、わたしからも、お願いします』



土下座する勢いでわたしも両親にお願いをした。



お父さんもお母さんもわたし以上にびっくりしていた。


でも、わたしたちの真剣な想いをちゃんと聞いてくれた。


結果、"ちゃんと高校を卒業すること"を条件になおくんとの2人暮らしを認めてくれた。


なおくんの親も、快く許しを出してくれた。



『順番、逆なのかな。合ってるのかな。てか、ここで渡していいのかな。もっと夜景の見えるとことかの方がよかったかな。うわぁ、何言ってるんだろう俺』



最後の制服デートの時。よく2人で行く国道沿いのカフェで。


珍しく口数が多いなおくんは、顔を真っ赤にしながらシルバーの指輪をわたしに差し出した。



『ううん。いつでもいいし、ここでいいよ。こちらこそ、よ、よろしく、よろしくお願いします……うぅ』


『よねこ、泣きすぎ』


『だって、嬉しくて……っ、なおくん、大好きだよぉ』



どうしよう夢みたい。


いや、これは幸せすぎる現実だ。



――わたしは高校を卒業したら、なおくんと結婚する。