「ほら、見上げてごらん。あの澄み渡る青空を……!」


「あ、ごめんね。ちょっと煩(うるさ)いけど無視してたら30分くらいで黙ると思うから」

「……いいの? 返事しなくて」


目の前でそんなことを言って本気で焦ってるのは、友人の千穂(ちほ)。


おっとりしてて、天然で、ボブカットの

ぬいぐるみみたいに可愛い女の子。


昼休み、

窓際の席でご飯を食べていると。


そのそばで、窓の外に向かって

「嗚呼。こんな日はピクニック日和だねぇ? 梁ちゃん?」

と両手を広げ斜め上なことを言ってるのは

言わずもがなアイツだ。


――闇雲愛。


毎日こりもせずにあたしの周りをうろつく男。


「めぐむくーん!」


と、そこへ

アイツのファンの女の子がやってきた。