「おはよう、梁(やな)ちゃん」

「……いるし」


朝。

家を出ると、当たり前のようにいるコイツ。


ひとつ、言っておきたい。

なにもコイツは別に、

あたしの特別な人なんかじゃない。


それだけは、

理解しておいていただきたい。


「おはようのキスをしようか」

「いきなり誤解深めること言わないで」

「ほんと、恥ずかしがり屋さんなんだから。仕方ない。今日はボクからしよう」

「朝の日課みたいに言わないで。一度もしたことないでしょ、一度も」