「なっ……バカはどっちだ! バーーカ!!」




もう知らない!



人が行き交う交差点に紛れていく背中を唇を噛み締めたまま見つめることしかできなかった。




何も言えない。



今日は本当に匠の事ばかり考えて、頭の中いっぱいになっちゃって。



苦しくて、泣いてしまいそうになる自分を見ていたくないよ。



なんで……



どうして私はこんな男を好きになったんだろう。


こんな面倒な奴。