「……ルア。

外部の人間が言うことなんて、気にしないで」



「べつにきにしてないよ?」



「……それならいいけど」



第一、第二と。

呼ばれるたびに傷ついていたのは、いつだってぼくじゃなくてルノ。ぼくら双子は不思議なことに感情を共鳴しやすい。



特にぼくの方がそれを感じ取る力が強い。

だから、ルノが傷ついたときはすぐにわかる。



「……無理、しないでよ?」



不安げにぼくを見る瞳。

自分のよりもブラウンの色素が強いそれを見つめながら、「うん」とうなずいてみせた。




そんなやり取りをしていたら、「仲良いな〜」とゆるく笑う声。

振り返れば、奇抜なオレンジの髪を揺らして笑う椛の姿。今日も今日とて、着崩された私立中学の制服は校則違反なものの、椛にはよく似合っていた。



「……また来たんですか?」



「なんでそう、るーちゃんは可愛げのない言い方すんのかな〜?

八王子家の敷地内に、俺が勝手に入っても怒られないようにしてくれてんじゃん」



「……毎回不法侵入されたら困りますからね」



顔をしかめているけれど、ルノが椛に懐いていることはよく知ってる。

「いろは」と名前を呼んで先にすり寄れば、「ルアはいい子だな」なんて言いながらよしよしとぼくの髪を撫でる椛。



振り返れば案の定、

ルノはしっかりと眉間にしわを寄せていた。



「ルノも、してもらう?」