目の前にいる私が見えていないのかと思わせるくらい自然に横を通り過ぎていった。
背中に感じる気配が消えると、私は声を出さずにはいられなかった。
涙を止めることも立っていることもできなくなった。
しばらく泣いて泣いて泣いていた。
すると今度は私の目の前に見たこともない男の子が立っていた。
悲しげな顔でこちらをみて微笑んだ。
大丈夫、そう言われている気分になった。
そして柔らかな手が私の頭に触れた。