まだ初秋とはいえ、夜ともなれば肌寒い。

少し薄着過ぎただろうか。

「ティナ……じゃない、サラマンダー、よろしく」

いつもの癖でつい故郷の精霊の名を呼んでしまい、慌てて地球の精霊名に言い換える。

現れた蜥蜴に乗った赤い髪を逆立てた少年は、《次は間違えんなよ!》と怒鳴りながらティーダの首元に張り付いた。

薄い炎の膜が体全体を覆う。

これで寒さは凌げる。

「……」

移動を続けながら、ふと考える。

こんな事、昔どこかでなかったっけ?

俺は自室を抜け出して、誰かを追いかけていて…。

そして…。