目を開けると真っ白な天井が見えた。

病院か…。戻って来たんだ。俺…。


「…朝陽…っ朝陽…っ!?」

「おい…しっかりしろ…っ!!」

母さんと父さんの泣いている声がする

いつもは明るくて元気に怒ってばっかなのに

こういう時だけずるいよな。


「母さん、父さん…」

と俺が微笑むと

「朝陽…ばか何してるの…交通事故なんかにあって…」

「…とにかく無事ならそれでいい…」

と鼻をすすりながら

「何か飲み物を買ってくる」と言う父さん

このタイミングじゃないだろとは思ったけど。

まぁ 俺はこの両親の所に生まれて、本当に恵まれているなと感じた。


そういえば…蒼は…

「母さん…蒼は…?」


「蒼ちゃん…?朝陽…あなた…何を言っているの…?」

と俺の言葉にびっくりする母さん。


「え…なに?蒼…どこにいるの?ねぇ母さん…」

「ねぇ…何か言って…」

と弱気になっている俺に母さんは


「…全く覚えていないのね…蒼ちゃんのこと…」


「ちゃんと言うから落ち着いて聞いて」

と母が言う。


蒼に 早く会いたい……



「朝陽…蒼ちゃんは




…二年前に亡くなっている…のよ…」


と涙を流している。


俺は突然のことで

その状況についていけなかった。

「あの時の苦しそうな朝陽…私は思い出したくないわ…」と続ける母さんだが

俺の耳にはそんな話など、何も入ってこなかった。


蒼が…亡くなった…?

「あれ…待って…母さん…今日何月何日…」


「…え、4月1日だけど…」

時間がそれほど進んでいない。
あんなに蒼と長い時間一緒にいたのに。

なんで…なんで…じゃあ…。

「…じゃあ…俺が見たのは…夢…っ、?…蒼は本当に二年前に…?嫌だ…あ……蒼…蒼……あ…ぅぁ…あ…っ」

と今までにはないくらい泣いて、泣いて、

怖いくらいずっと涙を流していた。


母さんは その間 病室から出ていってくれた。


それから涙が止まる頃には

俺は全てを思い出してた。