「うぐ…」

後退する蛮。

『どうした龍一郎。決め切れていないぞ』

禿鷲が笑う。

「畜生…」

イメージしているのは未来の自分の動きなのだが、この時期の龍一郎の修行不足の肉体では、思った通りの動きが出来ない。

「うおおおお!」

十字架を投擲する蛮。

これを捌き、一気に反撃に転じる…筈が。

「つっ!」

捌き損ねた。

回転する十字架は、捌こうとした腕を斬り、また蛮の手元に戻る。

「僕の攻撃だって、通じない訳じゃない」

ハァハァと息を切らせながら言う蛮。

龍一郎は、歯噛みするしかない。