あたしの両親は、まわりの子の親よりも一回り年をとっている。



お父さんはあたしが生まれる前に、大手企業から独立して会社を立ち上げた。


お母さんも同じ会社でずっとお父さんを支えてきた。



年月を重ねるにつれ会社の経営は安定したけど、なかなか子どもができず、お父さんもお母さんも悩んでいたらしい。



そんな中、結婚13年目にしてできた念願の子どもが、あたし。



おかげでみんなよりも欲しいものを買ってくれて、習い事にも通わせてくれて、お小遣いもたくさんくれて。



良ちゃんが彼の父親にしょっちゅう怒られていたのに対して、


あたしは親に与えてもらってばかりで、かつ、ほめられてばかりだった。



仕事が忙しくなった今も、こうやってあたしを気にかけてくれる。



もちろん感謝はしているけど、その反面、


『あたし』は親に作り上げられたものという思いも持っていた。



「アリサは私たちに一度も反抗したことなかったじゃない。もしかしたら無意識のうちにたくさん我慢させてたのかもしれないわね……。
今さら遅いかもしれないけど、もっとわがままを言っていいのよ」



その親が、あたし自身に選択権をゆだねてくれている。



あたしは、一体どうなりたいのだろう。