初めは‥‥‥


不意に、近藤さんの目に炎が宿ったように思えた。


「だが、今はな、そうではないところもある」


「新選組の局長であるあなたが、幕府のためではないと‥‥‥?」


「ああ‥‥‥〈俺〉は、この新選組が何よりも、ここの隊士達を何よりも優先する」


「隊士の皆が、そうでなかったとしても?」


「そんな腑抜けは、俺が、新選組の総意を持って罰を受けさせる」


ゾワリと身の毛がよだつ。


ああ、これが、局長である彼の覚悟。


仲間を下し、覚悟をもってのしあがって尚失わない輝き。


これは〈忠告〉だ。


隊士になった以上、僕も立も例外ではないと。


逃げることは、裏切りは許されない。


「不意打ちで忠告なんて、流石に怖いなぁ」


「そんなんじゃないさ」


はぁ、この笑顔の裏に隠された近藤さんを知りたい。


‥‥‥面白い。


「安心しなよ。汚れ仕事も、何だって引き受けてあげる。背負ってあげる」


「いいや、君一人に背負わせはしないさ。君を信じているよ」


言い様のない威圧感。


まだ、甘いよ。


そんな威圧じゃあ僕は下せない


でも‥‥‥ちょっと滾るなぁ。


「‥‥‥ふふっ。じゃあ、僕はこれで」


「ああ」


近藤さんの隣を通りすぎる。


まだまだ、甘いよ。








裏切らせないための忠告なんて、裏切りを恐れ怯えてることを教えてくれてるようなもの。


そうだろ?





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