ビーワ国は、険しい山々に囲まれた小さな国ですが、その山の中には金と銀の鉱脈を持つ、お金持ちな国でした。

豊かな金銀のせいで、他国から戦をいつも仕掛けられておりましたので、ビーワ国の兵士たちはみんな戦に長けた者ばかりです。

その血気はやる兵士たちを統率する、歴代国王の中で最も有能な国王の名は、キシルと言いました。

キシル国王は武術や兵法に優れておりましたが、性格はとても冷静でおだやかな方でした。
一度お怒りになると、それはもう手のつけられない恐ろしいことになるのでしたが。


その国王はにこにことして、もうすぐ美しい花嫁を迎える王子の部屋を伺いました。


「ナマタ王子よ、明日にはグラディス王女が到着されると早馬が来た。4日後の婚礼が楽しみだな」


本を読んでいたナマタ王子は、ぱたりと閉じて静かににこりと笑いました。